2010/02/28

本番


先日の演奏会に引き続き、Dom Poloniiで演奏してきました。

会場に着くと、入口で人が入れてもらえない様子。入口を止めているスタッフにこれから弾くことを告げると、問題があるからお客さんは今入れないけど、とりあえず中に入って、と言われ、会場に入ると調律の音。。この時間に弾いているはずの人が、私もまだ待っているのよ、と控室で待っていました。スタッフに聞いても状況を把握していない様子で、何時に弾けるのか聞く度に、違う答えが返ってきました。日本だったら考えられない、適当さ。

聴きに来てくれた人たちを待たせてしまうのが申し訳なく、演奏前の緊張も重なり、正直、困惑してしまいました。落ち着こうと思えば思うほど、気持ちは焦るばかり。普段だったら、ここは日本じゃないんだから、と思えたはずなのに、精神状態で、受け取り方がだいぶ変わるものです。

久しぶりに外は晴れて良いお天気、日曜のお昼で、旧市街は人でにぎわっていました。でも、外に出ても、なかなか気持ちが晴れません。


そもそも、なぜ演奏前に緊張するのかというと、技術的に完璧に弾きたいと思うがために、自分で自分を追い詰めてしまうことが原因なのかなと思います。




でも、音楽は、そうゆうものとは一切関係ないものです。



私がどんな気持ちであろうと、はじまった音楽は時間の中で流れて行きます。




今弾いている音に耳を澄まして、心にある音をつくって、

あ、楽しくなってきた、

そうやって音楽のことだけを考えた瞬間から、生きた時間になるのだと思います。





そうゆう時間を、少しでも多く、つくれる人になりたいです。

2010/02/23

弾いてきました

リハーサルができると聞いて、夕方ピアノを触りに行くと、何台もテレビやプライベートでカメラをまわしてる人がいて、案の定弾くのもそこそこに、終わったら質問攻め・・・ポーランド語でのインタビュー、とても内容のある話はできませんでしたが、今日のテレビで17時から放送されていたそうで。。。私見てません。。。

Dom Poloniiは白亜の建物で、中は2階まで吹き抜けのフロアにスタインウェイのピアノが置いてありました。よく響いて気持ちよかったです。

リハと演奏会前しか自分で写真を撮れなかったのですが、演奏した時は立ち見も出るほどいっぱいのお客さんからあたたかい拍手を頂き、嬉しかったです。今日お越しくださった方々、本当にありがとうございました。

ただ、今日がオープニングということもあり、ものすごい数のカメラとテレビがピアノの周りを演奏中もうろちょろしていたので、音楽だけにかなり集中しずらい環境でしたが、いい経験になりました。

メトロに乗っても、ショパンに関するニュースが配信されていて、今日はワルシャワ中で“CHOPIN”という言葉、そして彼の音楽に触れた日でした。まだまだこの長いお誕生日は始ったばかり。それだけでなく、2010年も。この年に、ここワルシャワにいられることも、本当に幸運だなと思います。

“najdluzseze urodziny”メインページで演奏の様子がライブ配信されているので、遠くて来れないという方も、是非この変わった演奏会、覗いてみてください。http://www.najdluszeurodziny.pl/


28日、日曜12時からも、ここで演奏する予定なので、今日の経験を活かして、より良い演奏にしたいなと思います!

2010/02/21

najdluzsze urodziny の opening concert


明日(22日)、オープニングコンサートは19時から主催者の挨拶のあと、19:15から20:30の間で9人が演奏するそうです。私はショパンのノクターン作品27-2とバラード作品52を弾くことになりました(今日決まりました笑)。その後、ノンストップで演奏が続いて行くようです。

どんな感じの演奏会なのか、行ってみないとわからないことがありますが、楽しんで弾けたらいいなと思います。Freeの演奏会なので、ワルシャワにお住まいの方は是非、気軽に立ち寄ってみてください。

2010/02/19

ショパンの長ーいお誕生日に

急ですが、来週2月28日ワルシャワで演奏します。場所はul.Krakowskie Przedmiescie 64 のDom Poloniiで12時演奏予定です。プログラムはオールショパンで、

・ノクターンop.27-2 変ニ長調
・マズルカop.33-3 ニ長調
・エチュードop.10-2, イ短調 op.10-5, 変ト長調「黒鍵」 op.25-10, ロ短調
・バラード op.52 ヘ短調

を演奏します。お近くの方は是非聴きにいらしてください。

このコンサートは、“najdluzsze urodziny”(直訳すると“最も長いお誕生日”)というタイトルで、2月22日から3月1日までの期間、アマチュアからプロまで、ショパンを敬愛する人が、ショパンの曲をノンストップで演奏していくという、ちょっと変わった企画です。ショパンが生まれたのは3月1日と言われ、ショパンの母親もずっと手紙でそう書いていたにもかかわらず、出生証明には2月22日と書かれていたことから、この約1週間まるまる、生誕200年ということでショパンの音楽でお祝いしよう!ということらしいのです。詳細はhttp://www.najdluzszeurodziny.pl/で見ることができます。

これとは別の企画ですが、全く同じ期間に、よくここまで集めた!と感心するくらい、一流のピアニスト達によって、ショパンの音楽が毎晩演奏されます。詳しくはショパン協会のサイトでどうぞ http://pl.chopin.nifc.pl/chopin2010/

自分の演奏もありますが、出来る限りこの演奏会にも足を運びたいと思っています。ちなみに、私の出る“najdluzsze urodziny”演奏会は、オープニングコンサート(22日)にも出る予定です。時間は未定。。あと3日後です。。さすがポーランド。







ショパンの音楽におぼれる日々になりそうです。

2010/02/17

オーケストラの響き

V.Gergiev(ゲルギエフ)指揮 London Symphony Orchestra(ロンドン交響楽団)を聴いてきました。ワルシャワでは初めての公演ということで、フィルハーモニーは満席で立ち見も多く、関心の高さが窺えました。

Programは、B.Bartok(バルトーク)の弦と打楽器とチェレスタのための音楽、 Chopinのピアノ協奏曲へ短調(ピアニストはエマニュエル・アックス)、 I.Stravinsky(ストラヴィンスキー)のぺトルーシュカ 。

素晴らしい演奏は、無音の瞬間も語りかけてくるものです。

そこにいるすべての人たちが息をひそめて聴き入る緊張感が、指揮者がふっと手をあげた瞬間から、音が無くなるまで、途切れることなく続いていました。

指揮者は、シェフのようなものです。いくら良い素材がそろっても、それをどう扱うかを知らなければおいしいものができないのと同じで、それぞれの楽器を熟知した素晴らしい奏者から、どのように音を引き出し仕上げていくかに、指揮者の腕とセンスが問われます。でも、さすが。ロンドンフィルの奏者達の素晴らしさは言うまでもなく、あの多彩な音色と響きはまるで魔法のよう!本当にわずかな音のバランスで、音楽の表情は全然変わってきます。そうゆうものの積み重なった音の綾は、信じられないくらい大きなものとなって聴き手に訴えかけてきます。

どんなにf(フォルテ)でも、決して大き過ぎるということはなく、“強さ”が増しているという印象。言葉にすると簡単ですが、実際そう聴こえるように奏でるのはとても難しいことです。素晴らしいオーケストラを聴くと、その瞬間に響きあう音のうつくしい“バランス”が、より一層わかる気がします。

アンコールはプロコフィエフのロミオとジュリエット。最後までわくわく、会場も興奮冷めやらぬスタンディングオベーションでした。

個々の奏者が本気で演奏したときに生まれるあの目に見えない“何か”に、心の底から元気をもらえました。

2010/02/14

WA: HARMONIA 展

ポーランドで日本のexhibitionを見ました。テーマは 和:調和 今日の日本のデザイン。もともと“デザイン”が好きだったことと、日本のものをポーランド人がどのようにみているのか興味があって、友人と日本に興味のあるポーランド人と行ってきました。

柳宗理さんや深澤直人さんのような有名なプロダクトデザイナーの作品をはじめ、日本で目にしたことのある身近なものから、見た目から使い方が想像できないユニークなものまで、いろいろな“もの”が展示してありました。

日本のデザインってやっぱりほっとします。何気なく手にとる“もの”を選ぶ感覚は、根本的には日本でつくられたものに囲まれて育ったことで、自然に養われた感覚からきています。そんな原点を、一気に見た気がしました。
ポーランドで、日本のモダンな“もの”を通じて、精神性が誇張されることもなく素直に伝わっているような気がして、ちょっと嬉しくなりました。日本のデザインを興味深く眺めるポーランド人を見て、アイデアと真心のこもったひとつひとつの“もの”を誇りに思いました。

日本の外側から日本の良さを再発見です。


柳宗理さんのうつくしい言葉


true beauty is not made, it is born naturally.
本当の美は、生まれるもので、つくり出すものではない。





どんなことでも、素晴らしいことというのは、こうゆうこと。 この言葉も、自然に生まれたものなのだと思います。

毎日の小さな感動に、感謝して。 明日もピアノに向かおうと思います。

2010/02/07

最近のお気に入り

最近Warszawaは暖かく(それでもマイナスですが)、天気も良い日が続いて、少し外が歩きやすくなりました。ある日ふらっと入った雑貨屋さんで見つけたものに、最近ハマっています。その名も、

BOROWINA SPA と BUSKIE SPA!

Nowy Swiat通りに新しくできた、ego&ecoというかわいい雑貨屋さんのオリジナルbathグッズです。

BUSKIE SPA (ブスキエ スパ)は、ポーランドの南にあるBusko源泉の体に良い成分が含まれた入浴液で、レモンとベルガモットの香りとぷりぷりの泡に癒されます。

BOROWINA SPA(ボロヴィナ スパ)も、同じ地方の源泉から抽出された硼素が含まれていて、見た目はどろっとした茶色ですが、バスタブに入れると自然な茶色になってスーとした何とも言えない香りに包まれます。療養治療にも使われる本格派みたいですが、これはお家で気軽に楽しめます。

体にも環境にも良くて、もちろん、Made in Poland!ポーランド贔屓になってきた今日この頃です。


夜はバスタブに浸かってじんわり温まってから眠ります。


このモコモコの泡にわくわくするんです


良い夢が見られますように・・・

2010/02/01

Chopin Year's Concerts!

2010年はショパン生誕200年、今年ワルシャワはChopin Yearの演奏会がとっても充実しています。私は今年に入って毎週のようにフィルハーモニーに通い、さまざまなアーティストの“ショパン”を聴くのが楽しみの一つになっています。

そして今日は最高の夜でした。

Andras Schiff(アンドラーシュ・シフ)による、Bachの平均律1巻前半とChopinの前奏曲集というプログラム。Bachはスタインウェイのピアノで、Chopinは1860年製のプレイエルのピアノでの演奏でした。

BachのプレリュードのC-durの分散和音が響き渡ってから、f-mollのフーガの最後の和音まで、ひとつひとつの調性の色が移り変わっていく時間が、こんなにあっという間に感じられるものなんだと初めて知りました。es-mollのフーガのはじまりの美しさは、感動的でした。ぺダルを使わなくても十分に流れ歌う声部、構築されていくポリフォニー、余分なものを一切加えないことで、かえって曲を引き立たせているように感じました。
Chopinの前奏曲集は、Bachとはまた違う響きで調性が聴こえ、プレイエルの優雅な響きと相まって、味わい深い演奏でした。Chopinは、Bachの平均律をよく演奏したと言われていますが、並べて聴いてみると、調性をもとにする構想は同じでも、全く異なる音の世界で面白く聴けます。

でもやっぱりシフはBachが素晴らしい。小さい頃からシフの音楽が大好きで、平均律を初めて弾き始めたころからよくCDを聴いては、どうしてこんなに美しいんだろうと思いました。今、あれから少し年を重ねても、CDはもちろん、ライブで聴いて同じ感動ができるのは、すごいことだと思います。年を重ねてさらに磨きのかかったシフの精神性は、Bachの音楽の本質と共鳴しているように感じます。

アンコールはChopinのノクターンFis-dur、Bachの平均律1巻Fis-durのプレリュード&フーガ、そしてChopinのマズルカop.24-2C-durという、完全に調性と“Bach”“Chopin”の世界が聴ける一貫性のあるもので、センスも抜群! お客さんの拍手と笑顔が、今日の演奏会の素晴らしさを物語っていました。

終わってしまうのが惜しい・・・と感じる演奏会に、久しぶりに出会いました。