2017/04/26

合唱団MORZとドイツレクイエム


先日、合唱団MORZの第7回演奏会に伴奏者として出演させて頂きました。
モルツの演奏会では過去最大数のお客様に聴いていただくことができ
大変盛会で終えられたこと、本当に感謝です。



前半リハの様子


ドイツレクイエムは連弾版で演奏させていただき、練習で弾いていたピアノソロよりも
ぐっと1台のピアノで拡がりを感じられる、ブラームスの編曲だったと思います。

本番では、合唱と指揮者そしてソリストお二人の中央にあたる位置で、
それぞれの音楽を間近で聴きながら、すべてを繋いでいく役割をより感じられました。

連弾特有のアンサンブルの難しさもありましたが、(ここは夫婦の絆を存分に発揮。笑)
約70分の大作も、正直あっという間に感じました。最後のページに来た時に、
終わってしまうのが寂しい、、とこんなに感じられたのも、
モルツの皆様と2年以上かけて積み上げてきた時間があったからだと思います。

1曲目の温かく包み込むような響きから、ブラームスがこの作品の中で一番最初に書いた2曲目の 哀愁を帯びた音楽。輝かしさを経て3曲目の長大なフーガに向かうエネルギー、
ここまで集中力が途切れず歌いきっていた合唱は素晴らしかったです。
(ここで今回は休憩)そして4曲目、 全曲中最も明るく天国的な雰囲気を持つ曲の特性を生かしたやさしい歌声、5曲目はソリストの響きに共鳴するように音楽も動き、6曲目は一転して陰りを見せますが、ソリストとともにクライマックスに向けて圧倒的な音楽に発展していきました。最後の7曲目は、大きなドラマの末、悲しむ人間は神のもとで祝福を受ける、という歌詞がずっしりと胸に響きますが、最初のテーマがヘ長調で回帰する合唱部分にはいつも感動します。
この大作に情熱を注ぎ歌いきった本番後の合唱の皆さんの充実した表情を見て、
温かな気持ちになりました。

長い音楽の旅を彩ってくださった、ソリストのお二人。
品性の感じられる奥行きのある声で、緊迫する“人間”の心を歌ってくださった
バリトンの山本悠尋さん。
作品の柔らかなフレーズを美しく、豊かな母性を感じる表情で歌い上げてくださった
ソプラノの渡邊仁美さん。

今後のご活躍をお祈りします!



指揮者の石野先生を囲み、ソリスト、ピアニストと


合唱団モルツの皆様とはもう10年のお付き合いになり、メンバーも変化をしながら、
様々な合唱作品をご一緒させていただきました。

発足当時からの団員さんの合唱に対する情熱には、いつも感銘を受けます。
そして、当日のタイムスケジュールのスタッフには、団員さんのご家族や
理由があってお休みされている旧メンバーの方々のお名前がびっしり!
今回のプログラムも、ありきたりのプロフィールと曲目紹介で終わらず、
木下牧子作品、そしてドイツレクイエムの合唱に対する想いがひしひしと伝わってくる
文章を団員さんが寄せられていて、とても読み応えのあるものでした。

モルツを愛する方々が、チラシ制作から運営まで全てを自分たちの手で作り上げている
演奏会。素敵な団だなと本当に思います。

私も関わらせていただく身として、これからも精進したいと思います。

次回の演奏会も楽しみにしています!





2017/04/05

坪田先生 米寿記念コンサート


先週の日曜、坪田昭三先生の米寿記念コンサート〜色とりどりの贈り物〜
無事に終えることができました。

いただいたお花や贈り物をゆっくり開けて。。
演奏会を振り返りながら、あらためて感謝の気持ちがふつふつと湧いています。



いただいたお花は春一色!

芸大時代の恩師、山城先生のソロを、今回のリハーサルで実は初めて聴かせてもらい、
先生らしい美しい音色に感銘を受けました。私が学生の時、芸大のレッスン室で
レッスンの合間に時間があると舟歌のフレーズを弾かれていた先生。
すべてに歌を感じる音楽で、あらためて尊敬しました。

山城先生を紹介してくださった坪田先生との出会いは、私が高校2年生の時。
すでに藝大の名誉教授で、毎回緊張しながらレッスンに行きました。
無駄のない的確なアドバイス、飾らないお人柄。

レッスンは時には耳の痛いことを言われたり、忍耐強くいなければいけないこともあり、
その時は大変な思いを感じるものですが、
人生の中では 本当に一時期になるのかもしれません。

先生方のふとした言動や出してくださった音は、ずっと記憶のどこかで残っていて、
何より音楽に対する姿勢から、今思えば多くを学ばせてもらいました。

演奏会に寄せた坪田先生のご挨拶より


常に人前で演奏することに意義があり、
健康である間は続けることが自分の役割だと思っています


そして約1ヶ月前に行われたモーツァルトの室内楽リサイタルでは


私も88鍵の最後の鍵盤に辿り着くことが出来ましたが、92 鍵のピアノもあるので、
少なくともそこまでは・・・と思っています


と書かれていて、先生らしい洒脱な生き方だと感じました。
卒寿のコンサートも楽しみ。

私も、頻繁にレッスンに通うのではなく、一人で練習するようになり、
教える立場にもなった今、なおさら先生方との貴重な時間を思い出しながら、
試みている自分がいます。

先日の坪田先生の演奏、指がヨタヨタだよと話されながらも、
いつものように美しい姿勢で、ホールに響く澄んだ音を演奏される先生に
門下生の先生方と私を含め、刺激をいただきました。

昨日の出演者は、私のお世話になった先生ばかりですが、
経験の浅い年下の私にも、気さくに音楽の話をしてくださる先生方が本当にありがたく、
そうゆう人は年齢を全く感じないのだと思いました。

私は今回のソロで、初めてラヴァルスに挑戦しました。
ずっと弾いてみたかったのですが、恐れ多くもこちらの会で初お披露目…笑




楽譜通り弾くことは困難な場所もあり、オケ版を聴いて
音色を考慮しながら少し手を加えたり、ピアノソロの音源も20種類以上聴いて、
自分なりの弾き方を探しました。

華やかな面がどうしても取り上げられることの多い作品ですが、
弾けば弾くほど、緻密な構成や音使いがラヴェル独特で面白いことがわかり、
また弾きたいなと思える作品です。




長くなってしまいましたが、
お声をかけてくださった先生、マネージメント新演のみなさま
聴きに来てくださった沢山のお客様、そして支えてくれた家族に、
心から感謝します。


ありがとうございました