2011/06/09

Sweden

イタリアでのリサイタルを終えた後、友人を訪ねてスウェーデンへ旅してきました。

旅日記、どうぞお付き合いください。



バッハの音楽を通じて知り合いになった友人との再会は、偶然にも教会の前でした。









私が訪れた場所は、スウェーデン南の都市、Malmo(マルメ)。海の近い美しい街です。




静かで、清潔感のある街です。



モダンな私立図書館を抜けると、目の前にスロッツ公園が広がって、気持ちのいいお散歩コースでした。












街の中では、かわいい北欧雑貨のお店がいっぱい。















公園を抜けて、マルメ城へ。






赤レンガのルネッサンス様式の要塞です。















中に入って2階の博物館を見学。


14世紀から現代までさまざまな、北欧アートや美術品が飾られています。



フォルテピアノも発見。 残念ながら触れませんでしたが、中にあるコンサートホールにはオルガンやモダンピアノも何台か置いてあって、こんなところで演奏できたらきっと素敵だろうなァと思いました。












エントランスも、北欧デザイン。
















この日はとても暑くて、まぶしいくらいの日差しでした。






アイス屋さんで、ひとやすみ。









マルメ滞在中、友人が受けているオルガンのレクチャーを聴講させてもらいました。スウェーデンでは教会が多く、オルガニストの需要が高いため、聴講生はオルガニスト志望の音楽家たち。






ピアノと同じ鍵盤楽器でも、構造も音色は全く違い、興味深いです。私も友人にくっついて、しばしオルガンの音色を聴かせてもらいました。




スウェーデン語はわからないし、オルガンの基礎知識は大学時代の副科レベル。。。友人の通訳のおかげで、内容をなんとなく理解しつつ、オルガンの持つあらゆる音色の響きを聴く、貴重な時間でした。

ここの教会のオルガンはわりとモダンな大きな楽器で、先生はフランクなどを数小節、弾いてくれました。














普段は入れない、オルガンの裏側まで見せてもらえました。




扉をいくつも通り、梯子を登って、上の方までも行くことができ、この楽器の大きさや、本当に大小様々なたくさんのパイプが、複雑に組み合わさって出来ていることがわかります。




見れば見るほど、この構造を考えついた人は本当にすごい、と感心してしまいます。




場所を移動してバロックオルガンのある教会へ。








ここではバッハを少し、聴かせてもらいました。


















手足の動き以外に、音色の変化のため、ストッパーを素早く変える技術など、この巨大な楽器を扱うための技術にも、目を見張ってしまいました。



















同じ鍵盤楽器でも、オルガンは、チェンバロやフォルテピアノ、もちろん私のいつも弾いているモダンピアノとは全然違う楽器です。







でも、今回音のパレットがまた広がった気がして、興味深い体験ができました。
















スウェーデンのマルメとデンマークのコペンハーゲンは、電車で30分ほど。






2つの国を結ぶオーレン大橋で、海を渡って国境を越えます。


水面がキラキラ






コペンハーゲン空港から乗り換えて、市内へ向かいます。
目的地は海辺のオペラハウス。






その前にちょっとコペンハーゲンの街をぶらぶら。

本場のIllums(イルムス)へ。






見てるだけで楽しい、洗練されたアイデアグッズがいっぱいです。






ちょっと迷いながらも、バスでオペラハウスまで到着。






友人の知り合いのはからいでバックステージから通してもらい、こんな場所からパチリ。



いい眺め!









この日の演目はトゥーランドット。






デンマークらしい(?)モダンで、シャープな演出で、美しい舞台でした。





トゥーランドット姫の歌声が、素晴らしかったです。









会場から外に出ると、運河に対岸が照らされて幻想的な雰囲気。







音楽の余韻に浸りながら、帰り道も夢のようでした。






アートに触れると、五感を刺激されます。







マルメにある近代美術館へ足を運びました。

カラフルでポップな空間。


色って元気になれますよね。









緑の芝生の上で、日光浴をする人をたくさん見かけました。





うーん、私は焼かない派ですが、みんな思い思いに寝そべって、気持ち良さそう。





旅をすると、現地のスーパーでお買い物も、楽しくて必ずします。





この日は友人と、スウェーデン料理の“ヤンソンの誘惑”という名前のついたポテトグラタンを作りました。スウェーデンでは、家族の集まるときに食べる伝統的な料理だそうです。



レシピはとてもシンプルで、千切りにしたじゃがいもと、きつね色になるまでバター炒めしたスライス玉ねぎを、耐熱皿に入れて、アンチョビフィレ、じゃがいも、パン粉、生クリームを全体にかけて、200℃のオーブンで30~40分焼くだけ。


とっても簡単でおいしいので、お試しあれ。



それから、友人のお宅で小さなホームコンサートをさせてもらったり、友人の生徒さんをちょっと教えたり。



そこでの出会いもまた、あたたかい思い出です。








マルメから電車で20分くらい行ったLund(ルンド)という街にも、ちょっと足をのばしてみました。





西の都ロンドンに対して、東の都ルンドと謳われた古都で、12世紀から13世紀には北欧における文化、経済の中心として栄えた街だそうです。












友人おすすめの、人気のチーズ屋さんに行ってみました。店内中、チーズの香り!何種類か試食させてもらい、気にいったものを小さくきりわけてもらいました。




帰国した今も、スライスしてちょっとずつお料理に使ってます。

















ランチでリクエストしたサーモン





やっぱりおいしかった。







街の中心にある、総石造りの大聖堂。












Lundagard(ルンド公園)と呼ばれるこの辺り一帯は、北欧最大のルンド大学の庭園の一部になっていて、緑の豊かな憩いの場です。





スウェーデンのヴァイキング時代の石碑も、緑の庭園に展示されていました。

















芝生の上では、学生が読書していたり、友達と踊っていたり、思い思いの時間を過ごしていました。




私も友人と芝生の上で、のんびり過ごしました。










あかねちゃん、素敵な滞在をありがとう。










2011/06/08

Recital

2日目のリサイタルは、夜でした。

日が長くてまだうっすら明るい空の中、会場に向かうと、去年コンクール前に練習のためピアノを貸していただいた家族や、コラート在住の若手ピアニストたちに一年ぶりに再会できました。





チラシやプログラムには印刷してあるのは、20時半開演。一応、何時ごろ会場入りすればよいですかとたずねて、20時半で大丈夫よと言われたので、予想はしていましたが。。。実際、20時半には始まる気配もなく、演奏会前に関係者の長いスピーチが入り、実際弾いたのは21時半をまわっていました笑 こうゆうのもイタリアではよくあるお話です。



始まって見ると、とても弾きやすいピアノ、静寂のおかげで、スカルラッティの1音目から、すっと音楽に入り込めました。


スカルラッティ2曲、モーツァルトアダ-ジオ、そしてシューマンを弾いているころからだんだん、、、ライトの熱でのぼせそうになってきて大変でしたが、一曲一曲のヴァリエーションを大切に弾きました。この曲は藝大時代修士リサイタルで弾きたくて選んだ曲だったのですが、あの時とは全く違った演奏になったような気がします。


たとえばレッスンなどで、もっと“自由に”と表現されると、どうやって?と引出しのない頃は、さらにむずかしく感じていました。今は、音楽に存在する時間の自由、というのを感じて音にすることが、前よりも少しだけわかるようになりました。




こうゆうことを理解するのは、自分の感覚で確かめて行くしかないような気がします。教えられても、それはその先生のもので、自分の中でわからないことというのは、自分の経験したことが、一番答えを教えてくれるものだと思います。




それが毎回うまくいくとか、正しいかどうかなんて、わからないけれど、経験の積み重ねが音楽の本質につながると信じて、弾いている今日この頃です。




聴いていても、弾いていても、あ、これだ!と思う瞬間は、会場も水を打ったように静かに聴いてくださっているものです。のめりこみすぎて、そうゆう意識を忘れることもしばしばですが。





音と現実をつなぐ、時間の感覚。。。 音楽は時間の芸術ですから。



だから、本番というのは、音楽する人にとってかけがえのない時間なのです。





休憩をはさんでバルトークは、良い意味でと思いたいオーバーヒートでしたが、最後までお客さんに喜んでいただけて嬉しく思いました。





終わった後の写真はいつも、こんなに笑ってたの?と思うくらい笑顔。やっぱりホッとしてるのでしょうか。







本当に、ありがとうございました。








2011/06/07

イタリアでの思い出

昨日、たくさんの思い出と共に帰国しました。

少しずつ写真をアップします。





まずはLiceo Classico(高校)での演奏会。

こんなところで弾いてきました。






ホールのような静寂はなくても、外からの光と風が感じられる中、響きを聴きながら弾くことができました。

集中して聴いてくれているのが、横から伝わり、気も引き締まります。








弾き終わった時、聴いていた人全員がスタンディングで拍手をしてくださって、嬉しかったです!

ここの学校長と先生と。

生徒さんと一緒に大きな拍手とあたたかい言葉をくださいました。







ホテルに戻ると、コンクールの最中だったので、室内楽部門で審査員として招かれていた一人の日本人の方と知り合いました。

フルーティストの大熊理恵子さん。同郷ということが判明して、びっくり。いろいろ話が弾みました。

次の日のリサイタルに向けて少し練習。







暑さも和らいできた夕暮れ、コンクールを運営されているサンティスさん一家の別荘へ連れて行ってもらいました。

南イタリアらしい風景。











家になっているサクランボを食べにおいでとお誘いを受けたのですが、なるほど、畑にあるサクランボの木に、たわわに実っていました。

去年も採れたてをたくさんいただいた記憶があって、なつかしい味がしました。







お庭には果物、アーティチョークなどの野菜、ローズやラベンダーも咲いていて、素敵な光景です。




















さて、採れたてをつまみ食い




みずみずしい味。








ジャスミンがみごとに花開いて、いい香りでした。
















太陽が地平線に沈むのを眺めていると、こんなにも早く沈むものなんだと、あらためて驚きました。




まるで吸い込まれるような勢いで落ちて行くんです。











コンクール中は忙しいけれど、ここに来るとリラックスできてまた頑張れる、とおっしゃっていました。



自然を感じられる空間で、気持ちをリセットする。家族総出でコンクールを運営するサンティスさん一家の元気の源はこんなところから来ているのかなと感じました。



よく冷えたリモンチェッロをいただきながら、夕暮れの涼しさを感じる、夢のようなひとときを過ごさせていただきました。






ネコちゃんもいっぱい、ここにお住まいの様子でした。





きもちいいニャー









夕食は、地元の人が集まるpizzeriaで。

おいしい魚介類やあつあつのpizzaをいただきました。



おいしかったァ!





大熊さんとパチリ。