2018/09/29

Angela Hewittさん


昨夜、紀尾井ホールで
アンジェラ・ヒューイットさんの平均律第2巻全曲を聴いてきました。

本当に素晴らしかった・・・

19時開演で22時終演の通常より長いコンサートでしたが、
むしろ終わった時の方が、心が満たされて元気になっていました。

受験生をみていると必ず演奏する平均律。

聴かせることの難しさは十分理解しているつもりですが、
全24曲すべての作品に命が宿ったような演奏に、
あらためて作品の素晴らしさを感じました。


3日前には、Fazioliサロンでマスタークラスを聴き、
個人的に初めてお話する機会を得ました。
あたたかく気さくにお話してくださり、とても嬉しかったです。

アンジェラさんは
以前私が数学と音楽のコンサートでご一緒した前島 信先生(慶応義塾大学名誉教授)
のご親友のPaul Embrechts先生(元ETHチューリッヒ工科大学教授)
のご自宅でピアノを弾かれる仲

バッハの音楽が好きなことを前島先生とお話していたら、
ポール先生がYouTubeで私の演奏を聴いてくださり、アンジェラさんとも繋がる、
という巡り合わせで、今回ご招待いただくことに。

今年の浜松国際に最年少で出場される、可能性に溢れた八木大輔さんが
トッカータホ短調を弾かれ、興味深いレッスンでした。
色々なアドヴァイスの中でも、バッハの作品を弾くときのペダルについて、
そして何よりその場で演奏する彼女のタッチのトーンから多くを学ばせてもらいました。



アンドラーシュ・シフがバッハを演奏していた際、顔が正面に見える場所
(つまりペダルをどこでどう使っているかが一目瞭然の場所)からの
テレビ撮影を数日前に見たけど、いっぱいペダルを使っていたわ、と話されていて
びっくり。私がシフをライブで聴いた時は両足はぴったり床の上だったと思います。

ピアノでバッハを弾く時には極力指でレガートをつくるべきだけれど、
指が届かない場所や演奏効果を引き出したい場所でペダルを最小限使うこと、
アーティキュレーションや指使いもとても細かく考えられて、共感しました。

本番は、なにかあったときの為にiPadを用意しておくわ、と話されていましたが、
一度も見ることなく、ピアノの脇に置かれた水入りのコップからキリのいいところで
水分補給され、休憩以外はずっと舞台で演奏されていました。

平均律全曲が真のレパートリーになるまでに、どれほどの時間と経験が
必要なのでしょうか。自然で美しい演奏ができるまで。想像するだけで、すごいこと。

私はまだまだ道半ばですが、
心に深く響く演奏を目指して何か努力したい、
心の底から感じたのでした。

素敵な機会をくださった、フォツィオリジャパンのワイルさん、福永さん、
前島先生とポール先生、そしてアンジェラさん。ありがとう。