2月22日から始まったショパンのお誕生日演奏会も、3月1日が最終日。今日は、Zamek Krolewski (王宮)でLeif Ove Andsnes(レイフ・オヴェ・アンスネス)のリサイタルを聴いてきました。
王宮には初めて行きましたが、こんな場所がワルシャワにあったんだと驚くほど、まぶしいくらい豪華な、Sala Wielka(ホール)でのコンサート。
プログラムは、R.Schumann(シューマン)の3つのロマンスop.28、ノヴェレッテンop.21-5、G.Kurtag(クルターグ)の“遊び”(1973年~)から数曲、再びシューマンの子供の情景op.15、Przerwa(休憩)後、Chopin(ショパン)のバラードop.47、ワルツop.70-3、ワルツop.64-2、ワルツop.70-2、ワルツop.42ノクターンop.62-1、バラードop.23 でした。
自分の世界観のある人だなと思いました。非の打ち所のないテクニック、明晰な構成、一つ一つの音に揺るがないものを感じました。生で聴くのは初めてでしたが、すごいピアニストでした。
演奏中、彼の正面から写真を撮ろうとカメラを構えた人がいました。(私はピアニストの背後で聴いていたのでよく見えたのですが)ワルツの途中でふっと音が鳴りやみました。周りは一瞬何事かと、張りつめた空気になりました。アンスネスさんは、カメラを向けたお客さんを、無言で指さし、じっと見つめて数秒。。。 動揺する様子を見せることもなく、ワルツのはじめから弾き始めました。徹底した姿勢を垣間見た気がしました。 あの気迫に満ちた無音は、忘れられません。
この8日間、ショパンの音楽と、さまざまなピアニストに出会いました。
どんなに名声のあるピアニストでも、舞台に立つときは、精神を削るものです。
それはきっと、どんなに経験を重ねても、変わらないと思います。
だからこそ、美しい音楽が生まれた瞬間に立ち会えた時は、心から感動するのだと思います。