2009/07/31

Eisenach 大急ぎで・・

25日はマスタークラスの最終日、私はレッスンと演奏会などすべての予定を終えたので、この日は他の受講生のレッスンの聴講と、夜はすべての楽器、フルート、オーボエ、クラリネット、チェロ、ピアノの受講生による終了演奏会を聴きに行きました。
普段あまり人のレッスンを聴くことがないのですが、この期間中いろんな人のレッスンを聴くことができました。自分の弾いたことのない曲も学べたので、レッスンを受けるのと同じくらい充実した時間でした。

レッスンを2人聴講した後、19時半開演のコンサートまでは時間があったので、Yukiちゃんと駅で待ち合わせて、午後からEisenach(アイゼナハ)に行くことにしました。Weimarからは電車で1時間です。EisenachはJ.S.Bach(ヨハン・セバスティアン・バッハ)の生まれ故郷で、ずっと行ってみたかった場所でした。Eisenachに到着し、まずは世界文化遺産のWartburg(ヴァルトブルク)城に行ってみました。丘というより山を時間をかけて登って行くのですが、頂上のこの古城からみた景色は見事な美しさでした。 1172年以前には完成されたというこの中世のお城、“エリザベトの間”のような華麗な部屋から、ルターが新約聖書の翻訳をした簡素な部屋まで、さまざまな歴史を持つ間がありました。私は何より、お城からの景観が最高に印象に残っています。山のお天気は変わりやすく、ほんの数時間の間にも、雨と晴れの繰り返しでしたが、空気がおいしくて、眼下に広がるアイゼナハの街や緑を眺めていると、心が洗われるようでした。


次はバッハの家に行ってきました。バッハ一族の生活が垣間見れる当時のままの部屋や、自筆譜や当時の楽器など、豊富な資料で、1日いられる内容でした。小さい頃、バッハのカンタータの「主よ人の望みの喜びを」のマイラヘス編のピアノを聴くのが大好きでした。あれから、バッハの曲は何回演奏したかわからないくらいピアノで弾いてきましたが、何度弾いてもその芸術に感動を覚えます。今回少しでも、ここの空気に触れたことで、今後バッハを弾く時、何か違ったイメージが自分の中で湧いてくるといいなと思います。残念ながら電車の時間がせまっていてゆっくり時間がとれなかったのですが、また是非訪れたい場所です。

バッハの家を出たのが電車発車の15分前というぎりぎりの時間でした。遠回りになる市庁舎の方も見て駅まで行くか、近道になる道を通るか、二人の選択は遠回りでした。。駅までひたすら走りました笑 日本人女性が2人でいるだけでも何かと目立つのに、カメラで片手に写真を撮りつつダッシュしていたので、相当目立ったのではないかと思います。。電車は、、、予定の時刻には間に合いませんでしたが、次の電車でワイマールまで無事に帰りました。



ワイマールに戻ってからはSchloss Belvedereという所で、今回のマスタークラスの終了コンサートを聴きに行きました。マスタークラスで何かを得たそれぞれの受講生の熱演に、あたたかい拍手が送られていました。



演奏会後、出演者のMegumiさんとYukiちゃんの3人で、ワイマール最古のレストランというZum Schwarzen Barenでご飯を食べました。とってもおいしかったです!
ワイマールは私にとって素晴らしい思い出の場所となりました。

Meisterkurse後半

24日は、Ferenc Rados先生とVera Gornostaeva先生の選ばれた受講生によるコンサートが、Liszt-Salon Altenburgという場所でありました。ピアノを囲んでたくさんのお客さんが座っていて、あたたかい雰囲気の中、9人がソロで演奏しました。私はこの演奏会で2回の出演をし、1番はじめに、MozartのAdagio、後半でRakhmaninovの音の絵op39-3と8を演奏しました。
さまざまな国籍の受講生の演奏を聴いて、とても刺激を受けました。ここのピアノ(スタインウェイでした)は響きがまろやかで気持ちよく弾けました。同じピアノを弾いても弾く人によってそれぞれ違った音色が聴こえてきます。まるでその人の声のように。同じ楽器で奏でることは、その人の音楽がよりよくわかって興味深いです。写真がぶれてしまって(しかも左にもう3人いるはずなので)残念なのですが、最後はみんなでカーテンコール、出演者は一輪ずつバラをもらいました。



演奏会終了後は、出演者、他の受講者、他の楽器の先生方などが集まって、打ち上げのガーデンパーティーが行われ、みんなで楽しみました。




先生のサインの入った修了証をいただき、短くも充実した私のマスタークラスの日々は終わりました。








2009/07/30

Meisterkurse ~ Jena Philharmonic

 

23日はJena Philharmonic orchestra との共演のために、朝8時に大学前からシャトルバスでJenaという場所に移動しました。バスで45分くらいで、会場に到着しました。

今回の共演は公開リハーサルのようなかたちで、マスタークラスの受講生や関係者が聴きに来ることができました。



まずはMozartのJeunehommeコンチェルトを全楽章通して演奏し、その後先生が近くでレッスンをしてくださるという感じでした。いつも想像でしかなかった音が実際いろんな音色で聴こえてきて、とても楽しく演奏できました。まだまだ課題はたくさんありますが、一人で弾くよりもずっと多くのことを、この短い時間に得ることができた気がします。

あらためてこの曲、本当に天才の書いた曲だと思いました。とても幸せな時間でした。 後で録音を聴いて、もっと音楽の“間”がほしいと思うところがたくさんありましたが、次に演奏する時は、モーツァルトが残してくれた、オーケストラとの対話をもっともっと楽しんで演奏したいと思います!

  右の写真は、左から受講生のフルーティスト(前日にこのオケとMozartを共演したそうで、聴きに来てくれました)、私、ゴルノスタエヴァ先生、マスタークラス中、ロシア語から英語にわかりやすく通訳をしてくださったキリルさん。




ワイマールに帰ってきてからは、聴きに来てくれたYukiちゃんとご飯を食べました。左のおばあさんの人形が持っているものが気になったので、二人でこのお店に入ってそれっぽいものを注文してみると、ポテトのお団子でした。もちもちしてとてもおいしかったです。演奏後のつめたいドイツビールも最高においしかった!
午前中は雨が降っていましたが、午後からはカラッと晴れて、気持ちのいい天気でした。ちょっと寄り道したくなるような趣のある小さな通りがたくさんあって、地図も見ないで歩きまわりました。ワイマールは小さな街ですが、うつくしい街並み、偉大な文学者であるゲーテやシラーの家、教会や美術館など、見所がいっぱいです。




明日はコンサートに出演させてもらうことになったので、気分転換をした後は、大学で練習室を借りてさらいました。







今日のレッスン室からも絵になるような風景が窓から広がっていました。本当に贅沢な環境です。






マスタークラスの間、私の写真はほとんど彼女が撮ってくれました。Yukiちゃん、ありがとう!


続きは後日、更新します!

2009/07/28

Meisterkurse前半

20日、Prof.Vera Gornostaeva(ヴェラ・ゴルノスタエヴァ先生)のクラスの受講生を決めるオーディションがあり(受かればレッスンを受けられることになります)、1人10分くらいずつ先生の前で弾きました。結果がわかる時間に掲示を見に行ってみると、無事名前があったので一安心。日本人は私一人で、他にはロシア人、スペイン人、オーストリア人、韓国人、の名前がありました。予定表を見ると私のレッスンは次の日の21日からだったので、さっそく午後から始まった他の受講生のレッスンを聴講しました。80歳とは思えない、エネルギッシュで生き生きとした音がしっかりと鳴り響いて、小さな体からどうしてそんな音が出せるんだろう、と本当に驚きました。フォルテで弾いてるのではなく、歌っている魂がフォルテになっている感じでした。受講生への妥協のないレッスンに、気が引き締まる思いでした。レッスンを聴講した後は、夜ごはんを学校近くのFrauentorというcafeでいただきました。どうして1人前がこんなに大きいだろうと思うことはこちらに来てしばしばですが、今回もおいしかったのですが食べきれませんでした、、でも、おなかも満たされたところで19時半からは、大学のホールで今回のマスタークラスの教授たちによる演奏会を聴きに行きました。Mozartのオーボエ四重奏がこの日のコンサートの白眉でした。音楽のことだけ考えられる夢のような1日はあっという間に過ぎて行きました。

21日は初めてのレッスン。この日はMozartのConcert“Jeunehomme”を全楽章演奏しました。モーツァルトのコンチェルトの中でも大好きな曲の一つで、10月に東京の演奏会で弾く予定でいたので、まだ譜読みを始めてから1ヵ月くらいでしたが、緊張の中セカンド(ピアノでオーケストラパートを弾いてくれる人)と演奏しました。先生からは貴重な意見をたくさんいただき、とてもためになりました。レッスン後、先生から、オケとこの曲を演奏してみないかという話をいただきました!願ってもない提案に、もちろん喜んで即答しました。オケとの共演は2日後でした。暗譜を必死で始めたのは言うまでもありません笑
22日は午前中もう一人のピアノのゲスト教授であるProf.Ferenc Rados(フランツ・ラドシュ先生)のレッスンを2人聴講してきました。ゴルノスタエヴァ先生とは違った雰囲気でしたが、先生の弾く音楽が説得力があるところは同じだなと感じました。午後からレッスンがあり、RakhmaninovのEtudes-tableaux Op.39no3と8を見てもらいました。ペダルの使い方など、目からうろこのレッスンでした。ラフマニノフの後もう一度コンチェルトを全楽章を通して演奏しました。集中力を保つのが大変でしたが、弾き終わった時に、あなたの音楽を聴けて良かったとハグしてくださって、本当にうれしかったです。レッスン自体は1時間半を2回という短い時間でしたが、先生の存在が何より勉強になった気がします。

終わった後はお腹がぺこぺこだったので、聴講しに来てくれたベルギーに留学中のYukiちゃんとランチをしに行きました。英語や片言のドイツ語続きだったので、日本語で話せるというだけでこんなにも安心できるものなんだなと実感しながら、レッスンの話やお互いのことをいっぱい話しました。ランチの後はまた練習に励みました。毎日違う部屋を使いましたが、どのレッスン室にも調律のいきとどいたスタインウェイのピアノが置いてあり、窓からは素敵な景色が見え、贅沢な環境だなと思いました。

23日はいよいよオケと共演が待ってます!続きはまた後日。

2009/07/27

Meisterkurse(Weimar)

19日から25日まで、ドイツのワイマールで行われたマスタークラスに参加してきました。
素晴らしい出会いが、たくさんありました。この約1週間の出来事を、感動さめやらぬうちにお伝えしたいと思います。ただ、いろんなことがありすぎて、1度に書ききれないので、少しずつ写真とともに報告できたらと思っています! 

19日は早朝、ワルシャワからフランクフルトに飛び、そこからは電車でワイマールまで向かいました。ドイツ国鉄DBのサイトでチケットを事前に予約したのですが、出発直前にその電車が故障のためキャンセルになり、別の電車に乗るというハプニングもありましたが、無事にワイマールに到着しました。ホテルに荷物を預けて、地図を片手に、学校まで歩いてみました。朝は雨が降っていたのに、到着してからは澄み渡るように晴れて、緑の多い道を歩くのが気持ちよかったです。初めて歩く場所はドキドキしますが、レストランやカフェがならぶ並木道、モダンな建物と歴史のある建物が調和のとれた色でバランス良く共存しているこの街が、一目で気に入りました。いたるところに赤いマスタークラスの広告が張ってあり、街の大きなイベントであることを実感して緊張しながら学校にたどり着きました。
右が、会場となったリスト音楽院。街の中心である市庁舎からすぐの立派な建物でした!受付をすませ、練習室を使うまでに時間があったので、学校から歩いて10分ほどのリストの家に行ってきました。この家は、ロマン派の大作曲家フランツ・リストが晩年に過ごした場所で、実際に使用したピアノや貴重な自筆譜など、間近で見ることができます。窓から見える緑豊かな公園やピアノを見て、これらがリストが目にしていた風景だと思うと、感慨深いものがありました。
学校まではさっき来た道ではない公園を抜ける道を歩きました。木漏れ日のあふれる道、散歩やサイクリングをしている人も多く、こんな場所が近くにあったら、毎日散歩したいと思えるうつくしい公園でした。考えずに歩いているわけではないけれど、自然の中で耳を傾けてみる。。鳥の声、風の音、遠くで遊んでいる子供のはしゃぎ声、気持ちがリフレッシュされる瞬間ってこうゆう時なのかなと思います。



豊かな緑の道を抜け学校に戻ってから、カギを借りて練習室へ。小さな窓からも、建物の先に緑の公園がずーっと広がっています。来たばかりで慣れないはずなのに、居心地がよくて溶け込んでいけたのは、この環境が大きかったように思います。
20日からいよいよ本格的に受講生が決まるオーディションやレッスンが始ります。続きはまた報告します!

2009/07/18

Home Concert

2週間ほど日本での滞在を終えてワルシャワに戻ってきてからは、次のマスタークラスの準備や補講のレッスンが毎日あり(今年は演奏会などで日本にいた間が長かったので)ばたばた過ごしていました。先日7月17日に、同じ門下の子がコンクール前の演奏の機会を作りたいということで、先生がホームコンサートをすることになりました。3日前にお話をいただいて、私も急遽参加させてもらうことになりました。
16日、ホームコンサート前日に、明日のお客様にふるまうスープを、先生と娘さんのマリーシャと作りました。18人分はこんなに、お鍋いっぱい!フウォドニックというポーランドの冷静スープで、ヨーグルトと特製のビーツのジャム、そしてキュウリやラディッシュなどの野菜とゆでた卵を細かく刻んで、味付けをして混ぜるだけの簡単なスープですが、夏にぴったりのスープです。

17日のコンサートは、私、Dariaダリア、そしてマリーシャに順で演奏し、コンサートの後、ミニパーティーという流れで、私はソロとマリーシャのCelloの伴奏を1曲する予定でした。お客さんの来る前にリハーサルをしていると、マリーシャが笑顔で「これもね!」とコンチェルトの楽譜を渡してきました。これもねって、、「まさかこれ、今日弾きたいの?」「わからないけど今一緒に弾いて!」やるはずはないと思ったので気楽に初見で合わせをしたものの、あぁ、、、彼女の意志は固くやっぱり弾くことになったのです。そしてさらに名前のわからない曲を和音とリズムのみで合わせる、楽譜もない曲をアンコールで弾きたいということで、もう考えるのをやめて楽しもうと開き直りました笑 コンサート前日に合わせをしたり、当日知らない曲を初見同然で弾いてしまうのも、責任ある演奏会ではありえないことですが、ホームコンサートのような雰囲気だからできることなのかなと思います。でも、どうなることやら。。
コンサートは予定より30分遅れてはじまりました。Dariaと私はそれだけでもう落ち着かなかったのですが、そんな私たちとは裏腹に、お客さんは飲み物を片手におしゃべりを楽しんでいました。いつもはレッスンをする部屋の半分がお客様、最前列に先生、これだけで十分緊張します。そして見慣れた風景が全く違う雰囲気に見え、心地いい緊張感と先の見えない不安が入り混じった気持ちでピアノの前に座ります。MozartのAdagioは緊張している気持ちを落ち着かせるようなテンポと、少ない音数で、神経が研ぎ澄まされる気がして、最初に演奏するのは好きです。そしてこの世界観とは対極のRakhmaninovラフマニノフのEtudes-Tableaux 音の絵op 39-3,8,9と進んでいくうちにテンションもかなり高まって、最後は輝かしい和音と共に、終わった!という感じでした。あたたかい拍手がとてもうれしかったです。

DariaはBach平均律C-dur、Ravelのondine、Brahms Sonata No.2を演奏しました。Dariaの演奏中、早く弾きたくてたまらない様子のマリーシャ、待つことに飽きてますが笑 Dariaの演奏が終わると、いざ出陣!!前日に渡されたマリーシャのCelloの曲はアルテュ二アウというロシア人の作曲で、もちろん初めて知る曲でしたが、エキゾチックな魅力あふれる曲でした。みんなの人気者マリーシャは、少し緊張しながらもみんなの前で弾けるのがうれしくて生き生き演奏していました。やっつけ仕事と言わなければならない伴奏2曲とおまけの楽譜なしアンコールもスリル満点でしたがなんとか形になり、最後は先生とマリーシャによるビートルズのイエスタデイが余興で演奏されて、みんなの笑いとともに演奏会は終了しました。 

そのあとの立食パーティーは昨日作ったフウォドニックスープやおつまみとともに、pierogi(ポーランド風ぎょうざ)やサラダなど、すぐ横のキッチンから出来たてが運ばれ、ワインを片手におしゃべりを楽しみました。といっても私のポーランド語能力では、ほろ酔いで早口のポーランド人にはとてもついていけず、雰囲気で理解することも多かったです。。でもこればっかりは地道な勉強と慣れしかないなと思います。食事も終わりに近づくと、部屋を暗くしてキャンドルをともしながらChopinをアレンジしたJazzやモダンミュージックを聴いて、雰囲気を楽しみました。こんな粋な楽しみ方も、すべてオリジナルなとこが素敵ですよね!

私は明日19日から、マスタークラスでドイツのWeimarに1週間程行ってきます。またワルシャワに戻ったらご報告したい思います!