2009/07/18

Home Concert

2週間ほど日本での滞在を終えてワルシャワに戻ってきてからは、次のマスタークラスの準備や補講のレッスンが毎日あり(今年は演奏会などで日本にいた間が長かったので)ばたばた過ごしていました。先日7月17日に、同じ門下の子がコンクール前の演奏の機会を作りたいということで、先生がホームコンサートをすることになりました。3日前にお話をいただいて、私も急遽参加させてもらうことになりました。
16日、ホームコンサート前日に、明日のお客様にふるまうスープを、先生と娘さんのマリーシャと作りました。18人分はこんなに、お鍋いっぱい!フウォドニックというポーランドの冷静スープで、ヨーグルトと特製のビーツのジャム、そしてキュウリやラディッシュなどの野菜とゆでた卵を細かく刻んで、味付けをして混ぜるだけの簡単なスープですが、夏にぴったりのスープです。

17日のコンサートは、私、Dariaダリア、そしてマリーシャに順で演奏し、コンサートの後、ミニパーティーという流れで、私はソロとマリーシャのCelloの伴奏を1曲する予定でした。お客さんの来る前にリハーサルをしていると、マリーシャが笑顔で「これもね!」とコンチェルトの楽譜を渡してきました。これもねって、、「まさかこれ、今日弾きたいの?」「わからないけど今一緒に弾いて!」やるはずはないと思ったので気楽に初見で合わせをしたものの、あぁ、、、彼女の意志は固くやっぱり弾くことになったのです。そしてさらに名前のわからない曲を和音とリズムのみで合わせる、楽譜もない曲をアンコールで弾きたいということで、もう考えるのをやめて楽しもうと開き直りました笑 コンサート前日に合わせをしたり、当日知らない曲を初見同然で弾いてしまうのも、責任ある演奏会ではありえないことですが、ホームコンサートのような雰囲気だからできることなのかなと思います。でも、どうなることやら。。
コンサートは予定より30分遅れてはじまりました。Dariaと私はそれだけでもう落ち着かなかったのですが、そんな私たちとは裏腹に、お客さんは飲み物を片手におしゃべりを楽しんでいました。いつもはレッスンをする部屋の半分がお客様、最前列に先生、これだけで十分緊張します。そして見慣れた風景が全く違う雰囲気に見え、心地いい緊張感と先の見えない不安が入り混じった気持ちでピアノの前に座ります。MozartのAdagioは緊張している気持ちを落ち着かせるようなテンポと、少ない音数で、神経が研ぎ澄まされる気がして、最初に演奏するのは好きです。そしてこの世界観とは対極のRakhmaninovラフマニノフのEtudes-Tableaux 音の絵op 39-3,8,9と進んでいくうちにテンションもかなり高まって、最後は輝かしい和音と共に、終わった!という感じでした。あたたかい拍手がとてもうれしかったです。

DariaはBach平均律C-dur、Ravelのondine、Brahms Sonata No.2を演奏しました。Dariaの演奏中、早く弾きたくてたまらない様子のマリーシャ、待つことに飽きてますが笑 Dariaの演奏が終わると、いざ出陣!!前日に渡されたマリーシャのCelloの曲はアルテュ二アウというロシア人の作曲で、もちろん初めて知る曲でしたが、エキゾチックな魅力あふれる曲でした。みんなの人気者マリーシャは、少し緊張しながらもみんなの前で弾けるのがうれしくて生き生き演奏していました。やっつけ仕事と言わなければならない伴奏2曲とおまけの楽譜なしアンコールもスリル満点でしたがなんとか形になり、最後は先生とマリーシャによるビートルズのイエスタデイが余興で演奏されて、みんなの笑いとともに演奏会は終了しました。 

そのあとの立食パーティーは昨日作ったフウォドニックスープやおつまみとともに、pierogi(ポーランド風ぎょうざ)やサラダなど、すぐ横のキッチンから出来たてが運ばれ、ワインを片手におしゃべりを楽しみました。といっても私のポーランド語能力では、ほろ酔いで早口のポーランド人にはとてもついていけず、雰囲気で理解することも多かったです。。でもこればっかりは地道な勉強と慣れしかないなと思います。食事も終わりに近づくと、部屋を暗くしてキャンドルをともしながらChopinをアレンジしたJazzやモダンミュージックを聴いて、雰囲気を楽しみました。こんな粋な楽しみ方も、すべてオリジナルなとこが素敵ですよね!

私は明日19日から、マスタークラスでドイツのWeimarに1週間程行ってきます。またワルシャワに戻ったらご報告したい思います!