2010/02/01

Chopin Year's Concerts!

2010年はショパン生誕200年、今年ワルシャワはChopin Yearの演奏会がとっても充実しています。私は今年に入って毎週のようにフィルハーモニーに通い、さまざまなアーティストの“ショパン”を聴くのが楽しみの一つになっています。

そして今日は最高の夜でした。

Andras Schiff(アンドラーシュ・シフ)による、Bachの平均律1巻前半とChopinの前奏曲集というプログラム。Bachはスタインウェイのピアノで、Chopinは1860年製のプレイエルのピアノでの演奏でした。

BachのプレリュードのC-durの分散和音が響き渡ってから、f-mollのフーガの最後の和音まで、ひとつひとつの調性の色が移り変わっていく時間が、こんなにあっという間に感じられるものなんだと初めて知りました。es-mollのフーガのはじまりの美しさは、感動的でした。ぺダルを使わなくても十分に流れ歌う声部、構築されていくポリフォニー、余分なものを一切加えないことで、かえって曲を引き立たせているように感じました。
Chopinの前奏曲集は、Bachとはまた違う響きで調性が聴こえ、プレイエルの優雅な響きと相まって、味わい深い演奏でした。Chopinは、Bachの平均律をよく演奏したと言われていますが、並べて聴いてみると、調性をもとにする構想は同じでも、全く異なる音の世界で面白く聴けます。

でもやっぱりシフはBachが素晴らしい。小さい頃からシフの音楽が大好きで、平均律を初めて弾き始めたころからよくCDを聴いては、どうしてこんなに美しいんだろうと思いました。今、あれから少し年を重ねても、CDはもちろん、ライブで聴いて同じ感動ができるのは、すごいことだと思います。年を重ねてさらに磨きのかかったシフの精神性は、Bachの音楽の本質と共鳴しているように感じます。

アンコールはChopinのノクターンFis-dur、Bachの平均律1巻Fis-durのプレリュード&フーガ、そしてChopinのマズルカop.24-2C-durという、完全に調性と“Bach”“Chopin”の世界が聴ける一貫性のあるもので、センスも抜群! お客さんの拍手と笑顔が、今日の演奏会の素晴らしさを物語っていました。

終わってしまうのが惜しい・・・と感じる演奏会に、久しぶりに出会いました。