2019/11/01

OPER GRAZ 


グラーツのオペラ歌劇場で、3公演鑑賞しました。

グノーのロミオとジュリエット
ヴェルディのドンカルロ
J.シュトラウスのこうもり

音楽はもちろん、演出の全く異なる3公演で
夢のような3夜でした。

1階3列目の中央、2階席の中央、2階のバルコニーと
それぞれ違う席で鑑賞しましたが、私はバルコニーが一番雰囲気もあり
落ち着いて聴けました。



グラーツ歌劇場は、素晴らしく豪華絢爛。
一歩足を踏み入れると、別世界に誘われます。







名指揮者カール・ベームはグラーツ出身。




オペラ座正面には、その日の演目が掲げられていました。




妹の恵理子はソプラノの合唱団員としてほとんどの公演に出演していますが、
ゲスト歌手もコアの歌手も分け隔てなく、
平等な立場で音楽をつくれることが良さだと話していました。

オペラは音楽と共に視覚的にも聴き手に影響を与えられるので、
演出がかなり重要になってくるということを、改めて実感しました。

ロミオとジュリエットは、古典的で美しい舞台に
本物の馬や悪夢を想像させる恐ろしい演出も加わって、迫力がありました。
グノーの音楽は、有名なアリアだけでなく全編に渡って美しいですね。

ドンカルロは、それぞれの立場で生きる人間の苦悩や葛藤を浮き彫りにする
音楽で、オケがよく鳴っていたように感じました。

こうもりはオペレッタで、とにかく楽しい音楽。
ファルケ博士がセリフをアドリブで話すときに、なんとバルコニーの私たちに向かって
日本からのゲストへこんにちは、というセリフを入れて下さり、粋な計らいに
その場はびっくりしましたが、楽しく鑑賞させてもらいました笑
直感的でインパクトのある演出でしたが、
セリフが多い中でもやはりドイツ語だからか、
自然に歌に繋がっていくのが発見でした。






シャンパンが幕間に振舞われ、ほろ酔いのところに、
デッキブラシとバケツを持ったおじさんが通りかかり、
グラーツに住んでるの?と聞かれ、
観光です、妹が歌っているの。と話すと、
すばらしいね!私はお手洗いの掃除に来たんだ、
と話されたので、愉快な人だなと思っていたら、なんと
次の幕でお掃除おじさんとして素晴らしく演じられている俳優さんでびっくり。
休憩中にも会場を動き回るユーモア溢れる演出に、また笑顔になりました。


公演後は、楽屋裏に会いに行くと、妹の同僚がたくさん声をかけてくださり、、
温かい仲間に囲まれている様子、何より母が嬉しそうでした。

これからも、恵理子、頑張れ。


若い人からご年配の紳士淑女まで、会場いっぱいの人達。
今も続く、ヨーロッパの文化を感じられました。









2019/10/31

妹に会いにグラーツへ


先週末は、オーストリアのGrazグラーツを旅してきました。
母と二人で、妹の恵理子が出演するオペラ公演を観たくて。

グラーツ、とても素敵な街でした。

観光の写真より



街の中心 Hauptplatz(ハウプト広場)

角にある、歴史のある美しい建物の説明を妹から受けているところの写真ですが、
トラムの線路の真上で、危なすぎますね。笑




爽やかな秋晴れで、紅葉した緑に囲まれた
ムーア川沿いの橋を渡るのは本当に気持ち良かったです。



街を散策



LandhausgasseにあるEl Pescadorというレストランが本当に美味しかった。。
その建物の裏で見つけた植物が壁一面に紅葉していて綺麗でした



今回の旅は初めて娘と離れて過ごしました。
でもやっぱりこうゆうお店に足が向いてしまう。。
可愛らしい木のおもちゃや絵本、宝探しのような気持ちでした。



グラーツのシンボルといえば
時計塔UhrturmとシュロスベルクSchlossberg



 レンガ屋根が続く旧市街が見渡せます



シュロスベルクSchlossbergからの景色は最高でした。

行きはSchlossbergbahnというケーブルカーで、散策した後、
帰りはSchlossbergliftのエレベーターを利用したのですが、
エレベーターと同じ階から地上行きのウォータースライダーのような
滑り台があり、個人的にかなり乗ってみたかったのですが
スカートだったので断念。次回は是非、パンツで来よう。笑



Mausoleumマウソレウムにも足を運び、
天井画の美しい静謐な空間でした。





1569年創業の老舗パン屋 Edegger-Tax
ハーブの効いたプレッツェルや缶にぎっしり詰まったバニラクッキーが
美味しかったです。


調和のとれた美しい街、妹の知り合いと過ごす時間も温かく、
素敵な思い出ができました。


行かせてくれた家族に感謝。





2019/10/22

BÄRENREITER URTEXT PREIS!


ザルツブルクでモーツァルト国際ピアノコンクールに参加したとき、
特別に戴いた賞があります。

セミファイナルで印象に残る演奏をしたことから
もともとは無かった賞ですが、審査員のご厚意により思いがけず戴けたものです。

ひとつの演奏から、こうゆうことも起こるのだと、
賞をいただけたこと以上にそのことが嬉しかった記憶があります。





ドイツの出版社ベーレンライター版の楽譜を
250ユーロ分使うことができるのですが、
いつか使いたいと思いながらもなかなか機会がなく
8年も経ってしまい、、、

今回思い切って本社のベーレンライター社に連絡をしたら、
1日でお返事をいただきました!

希望を伝えたらすぐに手配をしてくださり、
日本への配送料は、賞とは別に考慮してくださる丁寧さ。

来年2020年に向けて新しく出版されたベートーヴェン全集、
モーツァルト、バッハの作品集、今年生誕200年を迎えたクララシューマン等、
迷いましたが、一生大切に使えそうな楽譜を選ばせてもらいました。

来年刊行されるシューベルトのソナタの楽譜も予約リストに入れて、
刊行されたらまた日本に送ってくださることに。


無事届いた楽譜たち。

自らの演奏に生かすとともに、
さっそく生徒たちとも共有できたらと思います^ ^








2019/10/05

イギリス組曲全曲


秋晴れの清々しい日が続いていますね。

9月は、コンクールの審査、チェリストの伴奏や合唱のアンサンブル、
大学も秋学期が始まり、あっという間に過ぎていきました。

友人や先輩の演奏会にも足を運び、刺激を頂く機会も。
静かに耳を傾けて演奏を聴き、
秋の夜風を感じながら親しい人と音楽について話し合う

この季節の、そんな時間がとても好きです。

10月1日と4日は、紀尾井ホールでアンジェラ・ヒューイットさんの
イギリス組曲全曲を聴いてきました。
FAZIOLIのピアノから、溢れんばかりの多彩な音色。

1夜目は、すべての組曲中のサラバンドがとくに印象的でした。
ペダルなしのフィンガーレガートでも、やわらかく、伸びやかな美しい歌。
2夜目は、さらに曲の内容も規模も大きくなり、聴き応えのあるプログラム。
明るく軽やかなソナタニ長調BWV963は第6番との対比も素晴らしく、
この流れで聴けたことで、曲の持つ深遠さや情熱がより胸に迫るようでした。

終演後いつも笑顔で迎えてくださるアンジェラさんと、前島先生とご一緒に。



バッハが曲に込めた世界に、イマジネーションの翼を羽ばたかせることができる
自然な解釈と音楽性が驚きと発見の連続で、私はいつも全身耳です。笑

簡単に音源を探し聴くことのできる便利な時代ですが、
自分の五感で触れる経験こそ、その人本来の感性の礎を創ると思います。

若い人にも是非生で、演奏を聴いて欲しいと感じます。








2019/08/16

ART AQUARIUM 江戸・金魚の涼


日本橋で開催されているアートアクアリウムへ行ってきました。

過去最大規模の金魚たち、華麗でうつくしかった。


















金魚が大好きな娘も、
色とりどりの金魚が泳ぐ様子を楽しんでいました。

夏ならではの幻想世界

家族で楽しみながら、涼に浸れました。



2019/08/14

エンゼルクラシックス2019


真夏のエンゼルクラシックス、今年も楽しく終演いたしました。
沢山のお客様、本当にありがとうございました!

リクエストのパプリカでは、みんなのエネルギーがすごかった〜

たくさんの子供達が音楽に合わせて思いっきり踊ったり歌ったりしている様子を
お母さんたちが動画に納めるシーンも。

子供が喜んでる姿が何より嬉しい、
その気持ちがよくわかるようになった今日この頃です。



1日目


娘はコンサートが始まった途端なぜか大泣きしてしまいましたが、
コンサート中ホテル内の縁日で、じいじばあばに遊んでもらって満足そうでした。
2日目は慣れて楽しく聴いてくれたみたいで、安心しました。

エンゼルはホテルの敷地内に子供が楽しめる場所が沢山あって、
親としては本当にありがたいです。

スタッフも子供にやさしい方々ばかり。


2日目

大好きなエンゼルメンバー、
楽しい時間をありがとうございました!

はじけるような笑顔いっぱいのコンサートができるよう
また頑張りたいと思います。


2019/07/28

ラフマニノフピアノコンチェルト2番


昨日、岐阜国際音楽祭でのコンチェルト、無事終演致しました。
大好きなラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。

台風接近の中、お越し下さった満席のお客様の熱気に包まれて演奏ができ、
貴重な経験をさせて頂けたことに心から感謝です。




指揮者との合わせの際、李堅(リ・チェン)氏は
ピアニストでもあるご自身の演奏経験から
フルオーケストラの音量とピアノが格闘せず演奏ができる編成で
音楽を再創造したいという強い気持ちを話されていました。
ピアニストと指揮者を両立している方だからこその助言も
音楽的観点から納得のいくもので、音楽に集中することができました。

愛知室内オーケストラさんとは2度目の共演でしたが、
アンサンブルをするような気持ちで演奏できた瞬間が沢山あり、
作品の新たな一面を発見できた気がしました。



左から李・堅氏。私。コンマスの寺田さん。

コンマスはセントラル愛知交響楽団の寺田史人さん。
限られた時間の中でオケと指揮者とソリストをしっかり繋いで下さり、
コンサートマスターの大切さを改めて感じました。



コンサートマスターの寺田史人さんと舞台袖で。


初めてこの作品をオケと演奏した時に得た経験を生かして、
今できる精一杯の演奏ができたと思っています。

楽譜から読み取ったものを立体的な音にして、
各楽章がいかに緊密に関係しているのか、さらによくわかりました。
本番の経験を重ねれば重ねるほど、
また新しい世界が見えてきて、演奏は興味が尽きないです。

サラマンカホールはいつ弾いても本当に豊かな響きで奏者を迎えてくれて、
知っているスタッフの方々にもお会いでき、安心して臨めました。

そして、家族の理解と支えなしには、この本番は迎えられませんでした。

どうしても自分の時間は1番最後になり、本当の自分を見失いやすい日々の中、
もがいてもがいて、やっと見つけた音楽が私にくれたものは、大きかったです。

関わってくださった全ての方々へ、
ありがとうございました。



2019/07/03

第33回ピアノ発表会


先日、母の主催する第33回ピアノ発表会を無事終えることができました。
33回、続けている母を改めて尊敬します。

私も妹も幼い頃から参加していますが、
自分の子供たちの演奏を仕上げ、生徒さん達の本番を見守り、
自身も演奏をしていた時は本当に大変だっただろうなと想像します。
(今ではその演奏を私と妹が担っています。)

歌劇場のお休み中にグラーツから一時帰国した妹とは、
R.Straussの歌曲と、ドニゼッティのアリアを。
後輩のフルーティストの樋口裕香さんとチャイコフスキーの名曲等を、
最後にソロでショパンのマズルカとスケルツォ2番を演奏しました。

あたたかい拍手を、ありがとうございました!


練習時間は学生の時より自由に取れなくなりましたが、
その分、ものすごく考えて練習するようになりました。

今できることに最大限、集中すること。
理想の演奏を思い描いて、
本番までの時間をどのように使えばそこに辿り着けるのかを考える。
そのために本当に必要な練習とは何かを、常に考えること。

今の自分にしかできない音楽を伝えられるように、
これからも挑戦し続けようと思っています。


楽屋で娘を見ていてゆっくり聴けず残念でしたが、
出演された皆さま、素敵な演奏をありがとうございます。
お疲れ様でした。





2019/05/22

合唱団MORZ第8回演奏会


先週の日曜、合唱団MORZの第8回演奏会を無事終えることができました。

当日の演奏会を支えてくださった団員さんのご家族をはじめ、
聴いてくださった沢山の方々、本当にありがとうございました。

今回の3ステージはすべて日本語の作品で、後半にいくにつれ
現代の感覚に近づいていくプログラムだったと思います。

3部それぞれピアニストも変わり、
合唱の響きの変化も聴けたのではないかと思っています。

私は、千原英喜作曲の混声合唱とピアノのための組曲
「ある真夜中に」を演奏しました。

団員指揮者の佐藤さんは合唱愛に溢れた方で、
今回も熱い指揮をしてくださいました。

合唱とピアノの距離が近かったおかげか、多彩な声のハーモニーの中から
ピアノの音も生まれるような感覚で弾くことができ、貴重な体験でした。



本番後に佐藤誠孝さんと

合唱伴奏は、ピアニストにとっても本当に学ぶことが多い気がします。

本番の音楽は一瞬ですが、そこまでの練習はとても地道に
一人一人の歌に対する思いや、発声の努力、ハーモニーを形にする時間が
積み重なっています。演奏は1曲でも、すべての作品を一緒に弾き込みます。
練習の際、ピアノで合唱譜から4声を弾くことも難しいことですが、
それによって、横につなぐ意識(ポリフォニー)が本当に鍛えられるのです。
そして、ハーモニーの一部でありながら、4声と一緒にピアノを弾ける楽しさを
教えてもらえます。


今回、長い時間を通して練習に関わってこれなかったこともあり
本番直前に集中的に練習に参加しましたが、
団員さんの舞台に懸ける思いは並々ならぬものを感じました。


プロもアマも関係ない、音楽への熱い思い。
それがただ嬉しくて、応えたい一心で、本番まで一緒に頑張れました。


当日のプログラムノートの内容の濃さには毎回驚かされるのですが、
様々な職業のプロの方たちの英知を結集して、手作りでここまでできるのは
本当に素晴らしいといつも思います。


3部で演奏した「くちびるに歌を」の作曲者・信長貴富さんご本人からの
メッセージがプログラムに寄せられていて知ったこと。(以下寄稿より抜粋)
〜上智大学アマデウスコールの団員だった大学1年の時、私の初のオリジナル合唱曲を
石野健二先生の指揮でアマデウスコールに歌っていただいたことがあります。
何を隠そう、私の合唱曲を指揮してくださったこの世で初めての人物が石野先生
なのです。合唱団MORZにはその時一緒に舞台に立っていた先輩方もいらっしゃり、
ただならぬご縁を感じています。〜

そんな繋がりに関われたことも嬉しく思いました。

最後のアンコールは、髙田三郎の心の四季より「愛そして風」を。
MORZらしいカジュアルスタイル、白シャツ×デニムで。
そのまま打ち上げにも行けて素晴らしいのです。笑



左から1部で伴奏された久保田恵理さん、3部の中山博之、
常任指揮者の石野健二先生、私、3部の歌詞のドイツ語を朗読してくださった
ミリアム・グリットナーさん


MORZとの初共演から早12年、みなさまに出逢えたこと、感謝です。
これからもどうぞ、よろしくお願いします。




2019/05/06

卒寿のコンサート


坪田昭三先生の卒寿記念コンサート、
沢山のあたたかいお客様と東京文化の響きに助けられ、
無事終えることができました。

90歳になっても現役でいてくださること、
そしてその音楽が、何よりの教えです。


恩師・坪田先生と打ち上げのロビーにて。

ブラームスのクラリネットトリオ、素敵でした。
いつまでも、信頼できる仲間と室内楽ができる音楽家に私もなりたいです。


私の演奏したショパンのマズルカop.7-1とスケルツォop.31は
どちらも名曲で、ある意味弾くことに緊張感もありましたが、
その音楽の魅力を再発見する時間になりました。

終演後は久しぶりに教え子たちや幼馴染にも会えて嬉しかった。。。



高校時代の恩師・長野量雄先生と



大学時代の恩師・山城浩一先生と

恩師の先生方と同じ舞台に立てることを本当に誇りに思います。

緊張したり解放されたり、いろんな気持ちや表情を共にする楽屋で、
先生方とお話ができたことも、いい思い出です。

外からはわからない、いろんなことを抱えながらピアノと向き合っている姿は、
一人で向き合う時間の長いソリストにとって、励みになりますね。

先生方の背中を見て、私も益々精進したいと思います。