8月も半ばを過ぎましたが、猛暑の日々ですね。
私は先日、ソコライ・バラシュ先生というピアニストのマスタークラスを受講するため、ハンガリーへ行ってきました。先生とは今年6月シューマン国際コンクールで知り合い、そこで聴いた演奏が私にとって衝撃的な素晴らしさだったので、レッスンにも興味が湧いたのです。
今回はツヴィッカウで一緒だった藝大の後輩・五味田恵理子ちゃんと日本から出発。
ブダペストへ向かう乗り継ぎの空港で、偶然にも藝大の渡辺健二先生とお会いし、ブダペスト市内までご一緒させていただきました。なんて幸運!
ブダペストに到着してから、初めて訪れるハンガリーで右も左もわからない中、切符の買い方や電車の乗り方など、役立つ情報を教えて頂けて、本当にありがたかったです。しかもソコライ先生とはリスト音楽院でほぼ同期だったそうで、世間は狭いなあと感じました。
翌朝Keszthelyケストヘイというマスタークラスが行われる場所へ電車で向かいました。
ブダペスト南駅から約3時間。
車窓から、美しい水色のバラトン湖が見えてきた時は二人で歓声でした!
マスタークラスの会場は、Festetics Castleフェシュテティッチ宮殿という白亜の美しいお城で、
建物中央にあるサロンで毎日レッスンがありました。
天井が高く、響きもやわらかで、気持ち良くピアノの音に耳を傾けられます。
先生のレッスンは、なんといっても先生が弾いてくださる音楽の説得力がすごくて、
言葉はいらないと思ったほど。聴き方、耳そのものが変わってくる感じがしました。
自然体で伝えながら、音楽に妥協がないって、できそうでなかなかできないことだと思います。
私にとって、教える立場になって初めて受けたマスタークラス。
個人レッスンで教わったことは勿論、聴講をして、その教え方にも感銘を受けました。
いつかこんな伝え方やアイデアが自分の中から湧いてくるといいなぁ。
ハンガリーのリゾート地、ケストヘイ。
しかし、最初の数日は日本に負けない猛暑で、クーラーもなく窓も開けられない音楽学校でさらうのは一苦労。。でも朝と夜はカラッとして過ごしやすかったです。
同じ部屋で住んでいた友人がテーブルに置いていた一皿のポテトチップスが3、4日経ってもパリパリと音をたてていたのでびっくりしました笑
お食事やお部屋はシンプルでしたが、宮殿の一部に住むのは優雅で贅沢な経験。
自分のレッスンがない時は、各国から集まった他の受講生の聴講したり、
近くの音楽学校で練習させてもらったり、街を散策したり、いろんな国籍の受講生と話をしたり、
ゆっくりと時間が流れる中で過ごしました。
環境にも慣れてきた頃、宮殿から歩いて30分くらいのバラトン湖に受講生何人かで出掛けました。水平線の向こうに丘が見えて、これは湖だとわかるのですが、本当に広い。
中欧最大の湖だそうです。
波もなく静かな湖岸では、くつろいだり、思い思いに泳いだりする人たちの中で、
私は足だけパシャパシャ・・・でもみんなで写真をいっぱい撮りあって、楽しく過ごしました。
水に反映された夕暮れの空色
美しかったです。
フェシュテティッチ宮殿はケストヘイの観光名所で連日たくさんの観光客が来ていたのですが、
私もレッスンが終わったある日、友人と博物館見学ツアーに参加してみました。
フェシュテティッチ家は17世紀にクロアチアから移住してきた貴族で、建物内部の肖像画や調度品のある美しい間を順々に見て回りました。
中でも印象に残ったのがヘリコン図書館。
9万冊はあると言われている、分野別に天井近くまで並んだ蔵書。
戦争の時代にも大切に保管され、今でも現役の本たち、ずっと受け継いでほしいと思いました。
リハーサルにて
マスタークラス最終日、午前中はグリーグのバラードをレッスンで見てもらい、午後からリハ、
そして暗くなり始めた頃、ガラコンサートが始まりました。先生と受講生11人による演奏会。
はじめに先生がメンデルスゾーンの無言歌より3曲を演奏し(来月全曲レコーディングがあるそうです)、次にシューマンの暁の歌より3曲を演奏させていただきました。時間的なこともあり3から5曲目を抜粋で、流れは悪くないのですが、いきなりリズミックな3曲目から演奏に入りこむのが難しく、やっぱり5曲すべてで完成された作品なのだと実感しました。その後も先生が考えられた、流れの良いプログラム構成で受講生が演奏してゆき、私は最後にも、リストのラ・カンパネラを弾かせていただきました。。。先生の直後やトリに演奏するのは緊張しましたが、個性さまざまな受講生の演奏を聴くのも面白かったです。
最後に出演者で集合
一緒に行った五味田恵理子ちゃんと。
かわいい見た目からは想像できないくらいエネルギッシュで、のびのびした音楽の持ち主で、
これからが楽しみな若手ピアニストです。
実の妹と名前が(漢字まで!)一緒で、本当に妹のようでした。笑
ソコライ先生とパチリ。
終わってからいただいたご高評、嬉しかったです。
自分の音楽を探して
また明日からも精進したいと思います。